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相続土地国庫帰属制度とは?
近年、土地の相続の際に所有者についての登記が行われないなどの理由で、誰が所有者なのか不明な土地が増えています。国土交通省(2017年)の調べによると、所有者不明の土地の面積は、九州よりも広く、日本の国土の約22%にも及んでいます。
このような管理されずに放置された所有者不明の土地は、周辺の環境や治安の悪化を招いたり、防災対策や開発の妨げになったりと深刻な社会問題になっています。
そこでこうした所有者不明土地をなくすため、2021(令和3)年4月に、所有者不明土地の「発生の予防」と「利用の円滑化」の両方の面から総合的な民事基本法制の見直しが行われ、①相続登記義務化などを盛り込んだ民法・不動産登記法等の改正、②相続などにより取得した土地を手放し国へ引き取ってもらう制度に関する法律「相続土地国庫帰属法」の新たな立法が成立しました。
相続土地国庫帰属法とは、第一条において次のとおり定義されています。
「社会経済情勢の変化に伴い所有者不明土地(相当な努力を払ってもなおその所有者の全部又は一部を確知することができない土地をいう。)が増加していることに鑑み、相続又は遺贈(相続人に対する遺贈に限る。)(以下「相続等」という。)により土地の所有権又は共有持分を取得した者等がその土地の所有権を国庫に帰属させることができる制度を創設し、もって所有者不明土地の発生の抑制を図ることを目的とする」法律です。
土地の利用ニーズが低下する中で土地所有に対する負担感が増しており、相続地が所有者不明土地の予備軍となっています。
そこで、所有者不明土地の発生を予防する観点から、相続等によって土地の所有権を取得した相続人が、法務大臣(法務局)の承認を得、負担金を納付することにより、土地を国庫に帰属させることを可能とする制度が新たに創設されました。
現行制度でも、民法に、相続放棄等によって相続人が不在となった場合、その他の要件を満たすことにより、相続財産は最終的には国庫に帰属することが規定されています。(民法第959条)
ここで、民法と「相続土地国庫帰属法」との大きな相違は3つあると言われています。表にまとめると以下のようになります。