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特別の寄与

こんにちは。司法書士法人石川和司事務所の飯塚です。
今回は、相続法の改正についてになります。
今回の相続法の改正により、特別の寄与に関する条文が新設されます。
ある人が亡くなった場合、その人の財産は亡くなった人の相続人のみが取得します。
現在は、被相続人への療養看護等により財産の維持又は増加について特別の寄与があったと認められるときは、寄与分として通常の相続分より多く、その寄与をした相続人は、財産をもらえるという制度があります(寄与分)。この制度は、相続人の誰かが寄与をした場合の制度のため、下記の図でCが死亡したときに、Bが寄与をした場合には適用されますが、Aが寄与をしたとしても、Cの相続人でないため適用されません。
そのため、AがBの配偶者としてBの親であるCの介護等でそれなりの労力や時間を使い、大変な思いをしたとしても、AはCの財産を受け取ることはできません。
そこで、被相続人に対して無償で療養看護や労務の提供をして、被相続人の財産の維持や増加について特別の寄与をした被相続人の親族(民法725条)は、相続人に対して、寄与に応じた金銭の支払いを請求することができるという新たな制度ができます(特別の寄与)。
これは、上記のようなCの相続人でないAがCの介護等をした場合に、Aの貢献に配慮する制度として新設されます。ただ、この制度も被相続人の介護等により貢献すれば誰でもよいというわけではなく、被相続人の親族と限定されています。
ドラマなどではありがちですが、被相続人の介護等を家政婦(被相続人の親族ではない。)がしていた場合は、この制度は使えないということですね。
また、「私が死んだときは、金が入るんだから言うことを聞け」などという横暴な年配の方の出現もありえるかもしれません。
今回は、上記の特別の寄与に関する新しい制度を紹介しましたが、相続人だけでもまとまらないこともある相続問題に親族とはいえ相続人ではない方が加わることにより、より複雑になる可能性もあり、ご心配な方は専門家等にご相談することが安心への近道かもしれません。
飯塚貴久