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司法書士の仕事(不動産売買)

2011/05/21
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こんにちは。石川司法書士事務所の町田です。

今回も前回の記事の続きです。

前回の記事の後半で、不動産売買を例に取って任意とされている登記手続きをさぼるとどうなるのか、ということを説明しましたが、今回はそこで果たす司法書士の役割を説明してみようと思います。

前回の記事でも触れましたが、売買契約というのは、「売った」「買った」という約束だけで成立し、その効力も生じます。

ただ、不動産取引というのは、当然ですが、大きなお金が動く取引なので、そんな口約束だけで進めてしまう命知らずな人はそんなに多くはありません。

きちんと売買契約書を作って、署名・捺印をして、契約成立とする場合がほとんどです。

では、売買契約の効力が生じると、どうなるのでしょうか。

基本的には、当然に不動産の所有権は移転して、買主に代金を支払う義務が生じ、売主に物(ここでは不動産)を引き渡す義務が生じます。(ただし、不動産売買では、不測の自体に備えて、代金の支払まで所有権は移転しない、とする場合がほとんどです。)

くどいようですが、反対から見ると、売主に代金を請求する権利が生じ、買主に物の引き渡しを求める権利が生じます。

ただし、日本の法律には、「同時履行の抗弁権」というのがあって、双務契約(売買など)については、相手方が義務を履行していない場合は、自分も義務の履行を拒否できる、ということになっています。

つまり、買主の立場から見ると、売主が不動産を引き渡さない限り代金を支払わなくても良い(売主から見た場合も同様です。)、ということです。

ただ、それで売主買主双方が、お前が先に、いやお前が先に、と言い出すといつまでたっても終わらないので、慣習上、それを同時にしようということになっています。

具体的に何をするのかというと、、、

買主は、お金を支払います。これは分かりやすいですね。

売主は、不動産を引き渡します。ただ、飴やジュースなどと違って、ハイどうぞ、と手渡すことはできないので、売主が不動産を自由に使用できるようにして、そのための障害があれば取り除きます。

物理的な引き渡しとしては、通常であれば、鍵を渡せばそれで完了です。(もちろん、事前に売主・不動産仲介業者が物件に問題が無いことを確認します。)

それに加えて、前回の記事で例にあげて説明した、Aさん・Bさん・Cさんのようなトラブルが起こっては大変なので、登記手続きをするために必要な書類を揃えます。

この、登記手続きを買主だけで済ませられるのであれば、おそらく司法書士は不要となると思うのですが、売買による登記手続きは、売主・買主双方が協力しないと進めることができないのです。

物件の引き渡しという売主の義務に、この登記手続きをするということも含まれているのですが、その同時履行を保証するために、司法書士が登場します。

売買の最終段階である代金支払(不動産売買残代金決済、略して決済と呼ばれることが多いです。)には、売主・買主・仲介業者・司法書士が集まって、不動産がきちんとした状態であること、登記手続きに必要な書類などが全て揃っていること、その他取引に問題が無いかを確認した上で代金の支払いを買主にしてもらいます。

当然ですが、きちんと売買が行われていなければ、登記手続きもすることはできないので、登記のための書類を確認するだけではなく、売買が適正に行われたかを確認するのも司法書士の職責とされています。

そこで、売買の取引の成立に関わるに問題があれば、取引を中断するというトランザクション機能の一端も担うこととなります。

特に、不動産を購入する際に、銀行から借入をする場合には、銀行からの融資が実行されないと買主は代金を払うことはできませんが、売買・抵当権設定について司法書士の確認が無ければ、ほとんどの場合、銀行は融資を実行してくれません。

つまり、登記手続きを中心とした権利関係について、「多分大丈夫だと思います。」と誰かが言っても、銀行は融資をしてくれませんし、買主に代金の支払をお願いすることもできません。

そこで、「問題ありません。」と言い切って取引の最終の実行にGOサインを出すというのが、不動産売買における司法書士の役割とされています。

今回も想像をはるかに超える長文となってしまいましたが、なんとなく理解してもらえたでしょうか。

では、最後まで読んでいただいてありがとうございました。

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