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成年被後見人所有の財産の売却

いつもお世話になっております。
石川事務所の水島です。
今回は、成年被後見人所有の財産の売却についてお話したいと思います。
判断能力の衰えた方が所有する不動産を売却する場合には、その方がそのまま売主となることはできず家庭裁判所から成年後見人を選任してもらうことが必要となります。
手続きとして、まずは、御本人の主治医の方などに判断能力がどのくらいなのか診断書を書いていただき、財産がどの位あるのか、月々の生活にいくらぐらいかかるのかわかる資料を準備していただいたうえで、その他の資料を整えて、あとは裁判所に申し立てます。
以前は、申立から審判までに数ヶ月の時間を要する裁判所もありましたが、現在はかなりスピードアップしていて、問題なければ裁判所での面談から数日で審判がなされるケースも増えてきています。
また、さらに売却する不動産が御本人が居住する不動産だった場合には、後見人が裁判所によって選任されたあと別途に売却について裁判所の許可が必要となります。
現在は老人ホームなどにいて自己所有の不動産に居住していなくても、その不動産の所在地に本人の住民票があれば許可が必要です。
また裁判所によっては住民票を既に別の場所に移動していたとしても、以前にそこに居住していれば許可が必要との判断をするケースもあるようです。
このような許可が必要なのに許可無く売却してしまうとその売買は無効となってしまうので、売却を予定している場合には注意が必要です。
そしてその居住用財産の許可の手続きにあたっては、「その不動産を処分をすることがどうして必要なのか」「売却の条件等は相当なものか」などを明らかにするために、売買契約書の案などを裁判所に提出して申立しなければなりません。
それらを裁判所では本人の収支の状況や全体の資産の状況など、またその不動産の老朽化や管理にかかる費用なども勘案して判断していきます。
こちらの許可の手続きは、問題がなければ早い場合で一週間くらいで許可してくれる裁判所もあるようです。
その他、成年後見人は本人の財産を自由に処分できるわけではなく、あくまでの「成年被後見人本人の為になることなのか。」がすべての基準となって財産管理を行っていくことになります。
司法書士が売買などによる所有権移転登記手続きを代理する場合には、必ず売主・買主の本人確認が必要となります。
弊所でも後見人選任審判の申立のサポートを行っておりますので、当事者の判断能力に不安がある場合などには、お気軽に弊所までご相談ください。
司法書士法人石川和司事務所
水島喜代子